うおのめ、たこ
うおのめ、たことは
うおのめやたこは、慢性的に物理的な刺激を受け続けやすいとされる足底で発症しやすく、どちらも炎症が起きることはありませんが、角質がどんどん肥厚化していくようになります。なお、うおのめは鶏眼、たこは胼胝と呼ばれることがあります。
うおのめの発症メカニズムですが、主に足の裏(足底)に摩擦や圧迫が加わり続けることで、角質がどんどん増殖していき、肥厚化していくわけですが、この場合は内側、いわゆる真皮の方向に進んでいくので、やがて神経を圧迫するなどして、痛みが伴うようにもなります。原因としては、サイズや足幅が合わない靴を履く、開張足、外反母趾、足の一部に負担をかける歩き方をするなどが挙げられます。ちなみに肥厚化していく際の中心部の見た目が、魚や鶏の眼に似ていることからうおのめ、あるいは鶏眼と呼ばれるようになりました。
たこにつきましても、足底の一部に圧力がかかり続けることで、その部分が肥厚化していくわけですが、この場合は角質が外側に向かって肥厚化していくので痛みなどの症状はなく、厚くなった部分の感覚が鈍くなるといった程度です。ただ厚くなりすぎるとひび割れして痛みが出ることもあります。また、たこは足底だけでなく、鉛筆を持つ指(ペンだこ)、正座をし過ぎることで足関節の背部(すわりだこ)など、他の部位でも物理的刺激(圧迫や摩擦)を受け続けることで発生するようになります。
治療について
うおのめを治療する場合、足の一部に負担をかけない歩き方、サイズがしっかり合う靴など、根本的な原因をまず解決していく必要があります。その環境を整えたうえで、肥厚した角質を除去する治療を行っていきます。この場合、スピール膏を患部に貼るなどし、角質を軟らかい状態にしてから、メスなどを用いて角質を除去していきます。たこについてもスピール膏を貼付し、軟らかくなった角質をメスなどで除去するといったことが行われますが、それと同時にたこが作られる物理的刺激をできるだけ回避する対策も必要です。
やけど
やけどとは
一般的にやけどと呼ばれるケガは、医学用語では熱傷と言われています。これは高温のもの(熱湯 など)に一定時間触れてしまうことで、皮膚や粘膜が損傷を受けている状態を言います。なお低温のもの(44~50℃)であっても長時間触れ続ければ、熱傷の症状がみられるようになります。これを低温やけどと言います。やけどは、症状の程度(Ⅰ~Ⅲ度)によって分類され、治療法もそれに合わせて異なります。
Ⅰ度は軽度のやけどのことで、表皮の範囲のみ熱傷がみられている状態です。皮膚の表面は赤く、ヒリヒリした痛みなどがみられます。またⅡ度熱傷は、真皮の層まで熱傷が及んでいる状態で、比較的浅い場合を浅達性Ⅱ度熱傷、皮下組織の近くまで傷害されている場合を深達性Ⅱ度熱傷とさらに分類されます。この場合、どちらも皮膚にただれや水疱がみられますが、浅達性は水疱の底が赤く、深達性は水疱の底は白くなっていて、瘢痕化しやすいと言われています。さらにⅢ度熱傷は皮下組織にまで熱傷の症状が及び、乾燥した硬い壊死組織がみられるほか、神経まで損傷を受けているので痛みを感じることもありません。
治療について
やけどをしてしまった場合、まずその部位を速やかに水で冷やすようにしてください。範囲や程度、場所、年齢などによって異なることもありますが、30分程度は冷やしていきます。
また治療内容についてですが、Ⅰ度熱傷の場合は、主にステロイド系の外用薬を使用していきます。Ⅱ度熱傷では、損傷部位を感染予防のために洗浄し、ワセリンなど軟膏による治療を行っていきます。Ⅲ度熱傷の場合は、壊死組織を取り除き、植皮手術をするなどします。
巻き爪、陥入爪
巻き爪とは
巻き爪は、足の指の爪の両端が何らかの原因によってクルッと巻かれた状態になることを言います。なかでも親指の爪で発生することが多いです。また爪が巻かれてしまうことで、それが皮膚に食い込んでしまい、患部に腫れや痛みの症状がみられるようになります。これを陥入爪と言います。この場合、二次感染を引き起こしやすくもなるので、さらに強い痛みがみられるようにもなります。
なお巻き爪の原因は様々ありますが、主に開帳足や外反母趾、足のサイズに合わない靴を履く、もともと爪の形が巻きやすくなっている、深爪、爪に水虫の症状があるなどが挙げられます。
治療について
まず巻き爪の原因を特定し、靴が原因であれば足に合った靴を履く、病気によるものであればその治療をするなどしていきます。巻き爪の治療には、保険診療と自由診療(全額自己負担)があります。保険診療では再発を繰り返す巻き爪に対して、両端の爪を切った後にその部分に爪が生えにくくする薬剤を塗布していき、再発を予防するフェノール法という治療法があります。また自由診療には、ワイヤーを爪の左右に引っ掛け、爪が内に巻かれようとする力を利用して爪を矯正していくVHOという治療法があります。これは治療期間が半年~1年程度かかりますが、日常生活(入浴、ストッキングや革靴を履く など)に支障をきたすことはありません。
ちなみに上記以外にも、二次感染による症状がみられる場合は、抗菌薬の内服による治療も行われます。
*当院の巻き爪の治療は保険診療のみです。
異物・トゲ
異物・トゲとは
皮膚の中(皮下)に異物(ガラス片、木片、小石 など)やトゲが入ったままになっている、その状態で傷口が塞がってしまったという場合、何らかの感染症や異物肉芽腫(異物を体内で分解することができずに慢性的な炎症を起こし、それによって発生する腫瘤)を発症させる可能性があります。このような状態にならないためにも、異物が入ってしまったら速やかに当院を受診し、早い段階で摘出するようにしてください。
なお皮下の異物については、炎症が起きない限りは、痛みや腫れはないものの、異物感や不快感がみられることはありますので、このような場合も早めに除去するようにしてください。
治療について
治療とは異物の摘出になるわけですが、異物の位置をまず確認する拡大鏡(ダーモスコピー)を使用し、異物鑷子などの器具を用いるほか、必要であれば切開するなどして、(異物を)取り除くようにします。また除去の際に強い痛みが出るようであれば、麻酔をすることもあります。
切り傷、擦り傷
切り傷とは
主に鋭利な刃物(包丁、カッター など)によって生じる傷のことを切り傷と言います。周辺の皮膚組織につぶれがみられることは少ないものの、傷口は鋭く切断されています。ひどい場合は、神経、血管、腱、骨といった部位にまで損傷が及ぶこともあります。なお大量出血がみられる、神経や血管、腱が断裂しているという場合は、直ちに縫合処置(真皮縫合、皮膚接合用テープ、医療用ホッチキス など)をしていきます。
擦り傷とは
転倒した際に地面(アスファルト など)に皮膚を擦るなどして、手や足に傷ができたという経験がある方は多いと思いますが、この傷のことを擦り傷と言います。この場合の傷の深さは、それほどでもないことが大半ですが、皮膚表面には多くの神経が走っているので、ヒリヒリとした強い痛みを感じることがあります。すり傷は傷口に砂などの異物が入りやすく、それをきっかけに膿むこともあれば、傷跡が残りやすくなることもあります。また傷口に土などが入れば破傷風を引き起こす可能性もありますので、速やかに傷の処置をするようにしてください。
擦り傷は、まず傷口を水で洗い流すようにしてください。その後の処置については、現在は湿潤療法がよく行われます。これは、傷口を消毒させて乾燥させるということではなく、被覆材で覆うことで、染み出てくるとされる滲出液によって常に傷口を湿らせたることで傷を治していく方法になります。ちなみに滲出液には細胞の成長を促進させる働きがあることから、傷を早く治す、できるだけ跡を残さずにきれい治るといった利点があります。また消毒液を使わないので治療時の痛みも少なくて済みます。
床ずれ
床ずれとは
褥瘡とも呼ばれるもので、これは布団やベッドなどで体重がかかる部位(皮膚)が長い時間圧迫を受け続けてしまうことで、その部分の皮膚などの血流が不足となってしまい、やがて壊死してしまっている状態を言います。
床ずれは、自由に体を動かすのが困難、あるいは寝たきりの方に起きやすいとされ、そのほかにも瘦身、栄養不足、皮膚が弱い(高齢者、皮膚がふやけやすい体質 など)、痛みの感覚が鈍くなる病気(糖尿病、認知症 など)を発症しているといった方も注意が必要です。
発症しやすい部位については、どんな状態(仰向け、横向き、椅子に座った状態)であるかによっても異なりますが、仰向けの状態であれば、かかとや仙骨部、座っている状態では、背部、坐骨、尾骨で起きやすいとされています。血流不足になると、その部分の皮膚が赤くなります。さらにその状態が続くと水疱を形成し、それが破れるとただれ、潰瘍がみられるようになります。その後、感染症を引き起こすようになると、発熱などの症状も現れるようになるほか、場合によっては生命に影響してしまうこともあります。
治療について
床ずれによる症状が出ている場合ですが、程度によって異なるものの、軟膏を塗布する、抗菌薬の外用薬を使用するなどしていきます。皮膚組織に壊死がみられている場合は、感染症予防対策も兼ね、その部分を切除していきます。
そのほか、スキンケアや、なるべく同じ部位に圧がかからないように体の向きを適度に変えるなどの対策も必要です。